二重派遣
  法律で禁止されていることの一つです。派遣会社に登録して勤務先で仕事をするのが派遣ですが、そこからさらに別の会社に派遣されて仕事をすることが二重派遣です。

  業務請負 と絡んで行なわれることが多く、IT系(エンジニアなど)の職種や、販売系・倉庫系の仕事などに多く見られます。"自分がどこに派遣されて、どこの誰から指示を受けて仕事をするのか"は派遣会社との契約書に記されていますが、それ以外の企業(人物)から指示を受けて仕事をしている場合は怪しいと思ってください。

■具体的な例(IT)
  イヌの派遣会社に登録したポン太が、勤務先であるカエル会社で仕事を始めました。ある日、カエル会社から「うちで仕事を請けてるネコ会社に出向してコーディング手伝ってきて」と言われ、次の日からネコ会社に出社しました。ネコ会社のチーフ・ミケ氏から資料を受け取り、ミケ氏と相談しながらコツコツとプログラムを組み始めてひと月。見渡せば周りにはネコしかいませんでした。
  カエル会社の従業員ケロ氏がネコ会社に常駐していて、ケロ氏からのみ指示を受けて仕事をしている場合はOKです。(勤務先がネコ会社内だという契約が必要ですが)

■具体的な例(倉庫)
  イヌの派遣会社に登録したポン太が、勤務先であるクマさん倉庫で梱包の仕事を始めました。来週水曜日に私用で休みをもらいたいと倉庫長のツキノワ氏に相談したのですが、「休みは必要無いと聞いているから無理!そんな話をオレにするな!」と断られました。困ったポン太はイヌ派遣会社に連絡をしたのですが、「休みは事前申請で通るはずだ」と言われます。再度ツキノワ氏に相談しても返事が変わらず、「ついでに検品もおたくに頼んでるんだからしっかりやれよ!」と言われてしまい、困ったポン太は次の日から仕事に行くのを辞めてしまいました。
  ポン太の派遣先はクマさん倉庫株式会社ではなく、その倉庫の仕事の一部を請負っていたカエル派遣会社だったのです。担当のケロ氏はクマさん倉庫にはおらず、イヌ派遣会社には「梱包だけの簡単な仕事で、休みも取れますから」と言い、顧客であるクマさん倉庫には「仕事はバッチリの、休みは必要ないスタッフです!」と売り込んでいたわけです。

  派遣会社と勤務先が「イヌ→顧客」の関係であるのに対し、二重派遣では「イヌ→カエル→顧客」の関係になってしまいます。例えば本来は時給2,000円の仕事であっても、カエルが間で手数料を抜いてイヌに時給1,500円を渡すので、イヌ派遣会社の所属であるポン太の時給は通常より安くなってしまいます。

  また、カエルが完全に隠れている倉庫事例のような場合は、イヌとクマのどちらに相談しても埒があかない困った状況になり、ポン太の処遇はたらい回しにされてしまうわけです。このような現場でケガなんかしてしまったら…。

  二重派遣が禁止されているのは主にこのような理由からで、働く側を守るための決まり事です。

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