中間搾取って
  この業界は「中間搾取だ」という声が非常に多く聞こえてきます。働く側にしてみれば時給よりも高い金額を派遣会社がもらって、自分が働いた時間分儲けが増えていくわけですからね。

  派遣業界が全盛だった時期は、確かにそうだったのかもしれません。□が派遣スタッフで仕事をしていた悪名高い派遣会社(廃業済み)の社員は給料もやたらと高かったらしいですから。

  いまは業界も縮小し、不況に伴い派遣料金も下降を続ける一報です。でも派遣で働くスタッフに支払う給料は、それほど大きくは変わっていないんですよね。つまり派遣会社が利益として得る金額が圧縮されてきているんです。

  派遣会社もボランティアではありませんので、スタッフに支払う給料のほか、企業を運営していくのにかかる経費を支払わなければなりません。経費とは家賃や光熱費、社員の給料諸々です。

  売上から主にスタッフの給料(社会保険等含む)を差し引いた利益を粗利と呼びます。ここから前述の家賃や社員給料をさらに引いて純粋な利益が残っていくわけですが、一つの仕事単体で計算するのが粗利です。この額を見て「高い」「安い」を判断されるのですが、それがそのまま丸儲けになるわけではありません。現在の派遣業界は、実は世間一般と比較してもあまり最終的な利益率は良くないんですよ。

  では実際、スタッフが給料としてもらっている時給に対して派遣料金はどのくらいなのでしょう。

事務職の場合:
  低めの仕事で時給1,200円、高めの仕事で時給2,000円強。間を取って時給1,600円でみてみますと、派遣会社は1時間あたり2,100円~2,300円くらいの請求金額になります。
  オフィスワーク系はスタッフのスキルと時給額がリンクしている傾向があります。少しPCを触れる程度のスキルと、より専門的な技能を持ったスタッフとでは対応できる仕事が違う=時給に差が出るという職種です。

販売職の場合:
  低めの仕事で時給1,100円、高めの仕事で時給1,800円前後。間を取って時給1,500円でみてみますと、派遣会社は1時間あたり1,900円~2,100円くらいの請求金額になります。
  比較的経験が浅くても高めの時給で仕事をできますが、続くかどうかは分かりません。時給が高い仕事ほど販売現場は厳しいのが特徴です。ゆえにスタッフ数の確保にはどこも難航しており、利益率を下げてでも集めようとしています。

軽作業系(短期)の場合:
  低めの仕事で時給900円、高めの仕事でも時給1,200円前後。間を取って時給1,050円でみてみても、派遣会社は1時間あたり1,200円前後の請求金額にしかなりません。
  派遣会社の儲けは非常に悪いのですが、一度に大量のスタッフを求められる傾向があり、いわゆるボリュームディスカウント的なイメージです。ある程度専門でやっている派遣会社でないと受けずらいところもあります。

  この通り、交通費を支給しない場合でも粗利率は10%~20%強にしかなりません。粗利2割は高いか低いかでいったら「低い」仕事になりますが、現在の派遣業界はこんなものです。ここから交通費支給をしたりすると、当然ながらさらに落ちます。

  良い人材を採用しようとすればそれなりの時給を提示しなければならず、それでも派遣単価は落ちる一方です。派遣業界の悪いイメージは最盛期のまま残っていますが、現在は倒産する派遣会社も多く、結構ギリギリなんですよ。

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